国境の南、太陽の西

さよなら おやすみ またあした それじゃね

「飽きる」ことの恐ろしさよ

 ある程度の年齢の人というか、普通に3年くらい働いたことのある人ならわかってもらえるかなと思うんだけど、「飽きる」ということはほんとに恐ろしいんですよ。特に、こんな閉鎖的なところで生活していると。

 

 仕事をしていても、苦しいことや辛いことなんていうのは、頑張ればなんとかなると思うし、どちらかというとそういう状況になったら、よし、やってやろうじゃん!という感じになるほうなんだけど、「飽きる」という状況になるともうだめだと思ってしまうんですね。

 

 どういうときに「飽きる」かというと、仕事に張合いがなくなったときで。

 

 日本で働いてたときは、現場ごとにメンバーも変わるので、すごくいい人や嫌な人もいたんだけど、どちらにしても戦う相手というか、この人を超える、こいつには負けたくないというような気持ちをもつことができて、なんだかんだで張合いのある生活だった気がする。

 

 今はというと、もう完全に詰んでますね。あぁ、詰んだわ、コレ、みたいな。

 

 この配属先に赴任してきて、まぁ早々にダメな予感はしていたんで、この生活に飽きないように非常に気をつけて生きてはきたんだけど、残り4ヶ月でついに詰みましたね、コレ。

 完全に気持ちが切れてしまっているので、修復も不可能だろうと思われる。

 

 理由としては、いろいろあるんだけど、一番大きいのは、同僚たちの根本的な思考が「金は欲しいけど、自分は働きたくない」というくだらない考えに支配されているところにあると思う。

 

 僕の仕事は、土木技術をナミビア人に教えるということで、測量だったり現場管理の基本的なところを伝えたいところなんだけど、まぁ誰もやる気がないんですね。要請を出してるのに。

 誰も新しいことを学ぼうという気がない。あとは、適当に片手間でやってれば教えるほうがわかるまで教えてくれるとか思ってる。自分で学ぼうという気がない。

 

 役場の上層部は、自分たちの技術者を育てたいらしいんだけど、実際にやる人たちは、余計な仕事をやりたくないわけで。

 

 なので、最初から期待はせずに、ほんの少しでも前進したらいいなくらいで、考えてたんですが、まぁ、まったく進歩しないですね。まぁそれはしかたない。能力以前の問題で、もう僕がどうこうできるもんだいじゃないからね。

 

 30とか40過ぎのおっさんが、こっちから何か言うまでずっとぼーっとしてるとか、ワークショップを開催したら、ランチがないからやる気にならない、準備しろとか言いだして、彼らが測量とかを覚えれるように僕が教えながら彼ら自身に作業をやらせると、あいつは自分の仕事を俺たちに押し付けているとか言われる状況じゃあ、どんどんHPも削られますよ、と。

 僕が熱心に教えようとすればするほど、あいつは自分の仕事を俺たちにやらせてると言われ、教えなくていいからお前が自分で働け、俺たちは荷物を運んだりするだけでいいとか言われるのは、これはもう無理ゲーであると判断せざるを得ないですね。

 やればやるほど空回りとか。

 で、彼らの興味のある話は金と酒と女の話だけ。くそつまらない。

 それでもとりあえず一緒に笑ってないと、なんだ元気がないな、大丈夫かとか言われるので、適当に笑うしかない。乾いた笑いしかでない。

 僕だけでできる図面を書いたり見積もりをしたりする仕事をひとりでしててもいいんだけど、そうなるとほんとに僕がいる意味がないんだよね。別にオフィスにいく必要もなくなるし。アフリカに技術を教えに来てこれってあまりにも虚しいじゃないですか、これ。

 

 

 まぁそんなこんなで、彼らと働くたびに僕のHPはどんどんと擦り減り、元から無かったやる気もどんどん無くなり、もうゼロですね。ゼロ。

 

 ナミビアの旅行先もほぼすべて行ったので、熱烈にいきたいところも特になくなってしまったし、いつ日本に帰っても大丈夫な状況になってしまった。

 

 つまり、ナミビアでの生活にもう飽きたというところなんだけど。

 

 これねー、任期短縮して帰る人の気持ちもすごいよくわかるわ。

 

 僕みたいに、アフリカで生活をしてみたい、その上で自分の持ってる技術が途上国の人の役に立てばいいなくらいの考えの人間でも、今みたいな、誰からも求められてないし、自分がやる気を出せば出すほど相手の迷惑になるという状況できついのに、元から途上国の人の役に立ちたい!みたいな人がこんな状況に放り込まれてたら早々に帰りたくなるよね。

 

 ナミビアは旅行先もたくさんあるし、料金も比較的に高くないので、僕はいろいろと旅をしながら学ぶことができて、僕個人としてみればとても有意義な2年間なんだけど、ほかの国でろくに旅もできないようなところでこの状況じゃあ任短するのもしかたないよなと思う。

 

 で、僕には残り4ヶ月ほどあるんだけど、さてどういう風に過ごそうかと思ってたら、僕の後任ボランティアが27年度の4次隊で決まったとの連絡がきた。

 途中で辞退しなければ、来年の4月くらいに来るらしい。

 その人のために、最低限、ちゃんとした教える相手を手配しておくことくらいはしたいなと思う。カス作業員やカス職員についてはあきらめるしかないんだけど。

 

 いったいどうしたものやら。

 

 正直、オフィスに来る理由ももうほとんどないんだけど、残りの4ヶ月は、家からオフィスまでの3キロをウォーキングするためだと自分に言い聞かせて通勤するしかないなと思う。

 日本に帰るまでには体重も58キロにしておきたいし。

 

 まぁあれですよね、いまさら任期短縮するのもくだらないので、残りの4ヶ月なんとか頑張るしかないんだけど、願わくば、彼らが急にやる気になるとか、新規の技術職員が来るとか、民間企業から技術者が派遣されてくるとか、そんな奇跡の起こることを。

 

 

 

 ではでは

 ごきげんよう